夜道にぽつんと光る自動販売機を見るたび、思う。
あいつはまるで、ブラック企業の精鋭戦士だな、と。
朝も昼も夜も、雨の日も風の日も、ずっとそこに立っている。
真夏には熱気にさらされ、真冬には寒風を浴びる。夜中に酔っ払いに絡まれることだってあるだろう。
なのに文句ひとつ言わない。
私だったら、とうに音を上げている。
「ちょっといいですか。来月のシフトなんですが」なんて切り出して、しまいには辞表を出すだろう。
なのに自動販売機は、今日も変わらずそこに立っている。
そんな姿に、最近は妙な安心感を覚えてしまう。
仕事に疲れた帰り道、誰にも労ってもらえなくても、あいつは冷たいものも温かいものも用意して待ってくれている。
ボタンを押せば、ガタンと一本。
「お疲れさん」「無理せんときや」
そんな声が聞こえる気がする。
……あんたもな。

