一日の終わり、布団に入る。
ああ、極楽。
今日どんなことがあろうと、布団はやさしく受け入れてくれる。
仕事で失敗した日も、誰かに余計なひと言を言ってしまった日も、結局何ひとつできなかった日も。
あいつは何も言わない。
ただ、温かい。そして気持ちいい。
なんという安心感だろう。
ところが、朝になると話が違ってくる。
途端に敵になるのだ。
「さあ、起きてまずは歯を磨かなきゃ」
そう思うのに、あいつはなかなか私を離してくれない。まるで甘えてくる恋人のようである。
やめてくれ、そんな寂しそうな顔をするのは。
情に負けてあと5分、もう5分。
そうしているうちに、出発までの時間が着々と失われていく。
もちろん、あいつは悪くない。夜のあいだ、私を温め、休ませ、十分に役目を果たしてくれた。
ただ、どうにも私への愛が重いのだ。
たぶん親よりも、恋人よりも。なんとも困った仲である。
そろそろ夜も更ける。今宵もあいつに会いに行くとするか。

