冬が近づいてきた。
そう感じたのは、夜のコンビニでホットコーヒーを選んだからだ。
昨日まではアイスコーヒーだったのに。
ホットコーヒーには人を落ち着かせる魔力があるように思う。
名前通り、ホッとするのだ。
ネーミングに偽りなしである。
私はコーヒーを基本ブラックで飲むが、そういえば初めてブラックコーヒーを飲んだのは大学1年生の頃だった。
たまたま教授に出されたのがブラックだったのだ。
もちろん、苦かった。
けれどそれを飲んだとき、また一つ大人の階段を上った気がしたのだ。
そもそも人間は本能的に苦味に敏感らしい。
自然界には有毒な物質の中に苦味を持つものがあるため、「これ、毒じゃないか?」と危険を察知する手がかりになるのだという。
昔は顔をしかめていたものを、今は何のためらいもなく口に運んでいる。
……背伸びしなくなったな。
そんなことを考えながら、ブラックコーヒーを飲んでいた。
秋の夜、手のひらを温めながら。

